レースに向けてトレーニングをする際、怪我やオーバートレーニングになってしまうとトレーニングが継続できなくなり結果パフォーマンスは下がってしまいます。
自分の感覚ももちろん大切ですが、客観的にトレーニングの疲れ、疲労度を数値で見ることで怪我やオーバートレーニングを防ぐことができます。
今回は疲れを客観的に数値で見るということをお伝えしたいと思います。
目次
トレーニングをすると多かれ少なかれ疲労します。その疲労を客観的に数値で見ることができるのがTSSです。
TSSはTraining Stress Scoreの略で、トレーニングによってどのくらい身体に負荷がかかり疲労したかが時間や強度を用いることで分かります。
疲労を数値化することで怪我やオーバートレーニングになりうる状態であるということを把握できるとともに、ストレスを適切にかけられているかも把握できます。
パフォーマンスアップには適切な負荷が必要なので、それを客観的に数値で見てトレーニングをコントロールしてレースにピークを合わせていきます。
TSSを計算していく上でどの指標を基準にするかを始めに決めます。始めに決めた指標を継続して使用することでトレーニングの経過も比べる事ができます。
指標は心拍、パワー、速度を用いることがほとんどです。この3つの中でも外部環境の影響が少ない順、パワー>速度>心拍の順に信用性が高いと言われています。
手首で心拍が測れるようになり気軽に指標に用いる事が出来ていますが、気温などの外部環境に影響されやすいです。
まず計算していく前に”基準となる数値”を出していきます。今回はわかりやすく速度を指標とします。
1時間走り続けられる最大の速度をFTP(Functional Threshold Pace)といい、これを基準としてトレーニングの強度であるIF(Intensity Factor)を導き出します。
例>Aくんは1時間走り続けられる最高速度が15km/hです。これがFTPになります。
今日のトレーニングで12km/hで2時間走ったのでIFは12÷15=0.8となります。
TSSを求める公式は
TSS=(トレーニング時間(秒)×トレーニングの速度×IF)÷(FTP×3600)×100なので上の例を当てはめていくと
例>Aくんの今日のトレーニングのTSSは
(7200×12×0.8)÷(15×3600)×100=128
となり、この日のAくんのTSSは128となります。
このようにまずはFTPを出し、それを基準としてIFを求め、トレーニングの時間などを当てはめTSSを求め数値でトレーニングの負荷を見る事が出来ます。
算出したTSSは体の回復の目安にすることが出来ます。
150以下 – 次の日には回復します(低い)
150から300 – 次の日まで疲れが残りますが、翌々日には回復します(中)
300から450 – 二日後も疲れが残る可能性があります (高い)
450以上 – 回復には数日かかります (非常に高い)
TSSによって自分がどのくらいで回復するかを客観的に知り、怪我やオーバートレーニングを防ぐとともに、たとえば1ヶ月前よりもTSSが増やせているのか?同じトレーニングもTSSが低くなっているのか?など知ることでトレーニングの効果を引き出せます。
客観的な数値をぜひ参考にしてみてください!