前回は2つの閾値についてお伝えしました。
トレーニングは闇雲にやるよりも、指標を持ってトレーニングした方が効果を引き出すことが出来ます。
今回は閾値を使ってトレーニング強度の設定をお伝えしていきたいと思います。
目次
AT値やAeT値、VO2MAXや乳酸閾値などの指標を使い、トレーニング強度を決定してトレーニングを行うとより効果を引き出すことが出来ます。
例えば、脂質代謝を高めたい時にAT値以上の強度で走ると、糖質代謝が優位になるので効果は薄くなります。
狙った効果を引き出すためにまずはトレーニング強度を狙った効果のゾーンで設定し、その強度に沿ってトレーニングしていきましょう。
トレーニングゾーンを設定していきますが、このパーセンテージやゾーンの個数などはメソッドによって変化しますので、ご自分に合ったものを選択してください。
今回はAT値を基準に5つのトレーニングゾーンに分けてみます。
AT値の心拍を100%にした場合
トレーニングゾーン | 狙う効果 | AT値基準のパーセンテージ | 例)AT値心拍 150bpm |
Zone1 | 有酸素持久力 | 80%〜90% | 120〜135 |
Zone2 | 有酸素パワー | 91%〜95% | 136〜143 |
Zone3 | 閾値 | 96%〜102% | 144〜153 |
Zone4 | 無酸素持久力 | 103%〜106% | 154〜159 |
Zone5 | 無酸素パワー | 106%以上 | 159以上 |
各トレーニングゾーンがどんなトレーニングなのかみていきます。(ゾーン3は2つに分けています。)
ゾーン1(有酸素性持久力)
おしゃべりができる程度のペースで、LSDやJogといったゆっくりなペースのトレーニングはこのゾーンになります。
基本的な有酸素能力の向上、脂質代謝の向上といったトレーニングに適しています。
ゾーン2(有酸素パワー)
このゾーンは中程度の運動強度でやや呼吸数が多くなり、会話を維持するのが難しくなってきます。
エリートランナーではなく一般のランナーの方でしたらマラソンのレースペース付近になり、マラソンの30km走などのトレーニングゾーンです。レースでのペースコントロールを向上させることができます。
ゾーン3(閾値 100%以下)
このゾーンは体内の乳酸処理が追いつかなくなってくる付近なのでキツさを感じてきます。
乳酸をエネルギーに変換する能力を強化し、閾値ペースを上げることができます。
10kmなど短い距離の閾値走などはこのトレーニングゾーンに入ります。
ゾーン3(閾値 100%以上)
ゾーン4(無酸素性持久力)
このゾーンは呼吸が荒くなりかなりキツさが出てきます。
無酸素性の持久力とともにVO2MAX値が向上します。
1000mといったロングインターバルや200mや400mといったショートインターバルなどはこのゾーンに入ります。
ゾーン5(無酸素性パワー)
スプリントといったいわゆるダッシュのトレーニングで、無酸素の運動能力を向上させます。
モータースキルトレーニングがこのゾーンに入ります。
トレーニングの目的によって各ゾーン内で走ることで運動強度が高すぎたり低すぎたりすることがなくなります。
もちろん測定して正確にとった指標の方が良いですが、ランニングウォッチですとこのゾーン設定を勝手にしてくれ表示する機能もありますのでぜひ活用してください!
トレーニングを計画し実行しっぱなしではなく、フィードバックをすることも重要です。
その際、各ゾーンのボリュームを見て、どの運動強度が多く、どの運動強度が少なかったのか?などの確認をし、調整することが出来ます。
メソッドや時期によって各ゾーンのボリュームは変化しますが、基本的には低強度(ゾーン1〜2):高強度(ゾーン3〜5)=80:20程度になるようにトレーニングを組むとパフォーマンスは上がっていきます。
1週間〜1ヶ月程度の期間の集計を振り返ってどこが足りないのか?など見てみると、パフォーマンスのアップにもつながりますし、怪我の防止にも役立ちます。
トレーニングを集計する際、基本的には時間で集計しますが、分かりにくければ距離でも良いと思います。
図はコーチングのトレーニング管理しているエクセルからグラフ化したもので、ABはゾーン1〜2、LTはゾーン3〜4、MSはゾーン5のことです。
チングで割合を変化せずにトレーニングを組む際は、割合で確認して高強度が足りないかもと確認
トレーニング管理にも役立ちますし、怪我の防止やパフォーマンスアップのためにも運動強度を決めてトレーニングしていきましょう!!